【優しい虐待】虐待する人は誰?どんな虐待を連想しますか?

2021年10月11日月曜日

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優しい虐待という言葉を使ったことはありますか?

■「優しい虐待」という言葉の誤用

優しい虐待と聞いてどんな虐待をイメージするでしょうか?

  • 甘やかして自立できなくすること
  • 褒めてばかりで客観視できなくなること
  • マナーを教えず非常識に育つこと

ネット上でもそんな誤用がちらほら見受けられます。

でも正しくは、

「一見正当と思われる教育・しつけなどにより親が子どもをコントロールし心理的外傷を与える虐待」

です。

どうやら「優しい虐待」には、甘やかしではなく、積極的な教育・しつけの要素が含まれているようです。

NHKのクローズアップ現代で取り上げられたのが2011年12月。

やさしい虐待 ~良い子の異変の陰で~ - NHK クローズアップ現代+

長谷川博一教授の著「お母さんはしつけをしないで」は、それまでしつけは親の役目と信じられてきた社会通念に一石を投じた形になったことでしょう。

■「優しい虐待」という言葉が作られた経緯

「優しい虐待」の根幹にあるものは価値観の押し付けですから「過保護」だけでもその要領を満たさないと思います。優しい虐待=過保護では言葉を新しく作った意味もないですし。

過保護は過保護でもそこに叱責やプレッシャーのニュアンスが含まれなければならないということでしょうか。

この「優しい虐待」という奇抜な呼び方は、身体的虐待やネグレクトなど明らかに虐待だとわかるものの陰に潜んだ、一見虐待だとは判別しにくい隠れた虐待を広く周知させるために作られたのです。

ですからこの「優しい」は単純な優しいではありません。例えば「これは教育だ、しつけだ」とすごい剣幕で怒鳴ってる親をなだめようとしたとき、「これはこの子を想ってやってるんだ!」と言い返される場面を想像できないでしょうか。そんな時に厳しいことも『優しさ』だいう状況で使用される「優しい」なのです。

こういった複雑な背景と解釈、一種のアイロニーからできましたので、「優しい虐待」という言葉の誤用は致し方ないと思われます。

また、この言葉が甘やかしを意味するものとして自然発生しないとも言い切れません。

実際に過度な甘やかしによって、子どもが本来持っている自立心を奪い、成長の機会を奪ってしまう事例も存在します。そんな場面に出会ったとき「これも虐待同様、子どもを苦しめている。これは『優しい虐待』だ」と言いたくなる可能性も考えられるからです。

(ただ、自然発生した場合は恐らく「優しさによる虐待」もしくは「優しすぎる虐待」となりそうなので、一般的にみられる優しい虐待のほとんどは自然発生ではなく誤用からきていると思われます。)

自分も専門的に学ぶことがなければ、そんなアクロバティックな解釈には至らず、おそらく甘やかしのようなものを連想していたことでしょう。

■「優しい虐待」の解釈は今後変わっていくかもしれない

ただ一つこの件について大きな問題があるとすれば、それは「優しい虐待」を表面的な言葉の印象によって解釈した人と、創作者の意図通りに解釈した人によってその後の行動が正反対になることです。

「優しい虐待」をその真意に従って自分の教育方針を見直すとすれば、「自分の価値観を子どもに押し付けていた」、「厳し過ぎた説教を改め、子どもの考えを尊重し、そっと見守ろう」という風にまります。しかし、逆の甘やかしと解釈するなら「何も言わないのもこの子のためにならない。厳しくするのもこの子のためなのだ。ちゃんと言い聞かせよう」ということになるのです。

厳しくしなきゃと考える人と、厳しくしちゃだめだと考える人が出てきてしまうということですね。

このように「優しい虐待」という言葉が甘やかしへの批判に使われてしまうとすれば、全く逆の意味になってしまうのです。

あまりに正反対に解釈されるこの「優しい虐待」という言葉が、10年20年先まで創作者の意図を保てるかどうかといわれると確信はありません。

本ブログでは、優しい虐待に対する言葉の誤用についてフォーカスしました。優しい虐待の意味や有害性については下記の記事でとても詳しく解説されています。お世話になりました<(_ _)>

参照

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