【恐怖体験】闇夜の行進―実際にあったゾッとする話・怖い話

2021年10月21日木曜日

★Ablock 詩・随筆

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霊感のない男が体験した怖い話

あれは数年前の話になる。

同年代が集う三日間の研修・合宿を終え、僕はリュックサックを背負いながら線路沿いを歩いていた。

元々友達だった人と久しぶりに会ったり、新しい仲間ができたりした。

三日分の着替え、タオルでリュックサックはいっぱい。

もちろん歯ブラシやくし、口臭・眠気対策のミントなどのエチケット用品も持って行っており、それらは別ポケットに入れてあった。

夜な夜な語り合うこともあったから、空っぽのジュースの容器や、食べ終えてくしゃくしゃになったお菓子の袋も無造作に入れてある。

友達との会話、笑顔、勉強したことなどの思い出にふけっていたかもしれない。

もう夜の10時くらいになっていたか。辺りは暗く右には線路、左には立ち並ぶ民家があった。

車のエンジン音や、電車の通り過ぎる音、人の話し声など、賑やかな場所、騒々しい場所、いろいろあった。

しかしそれらが一斉にやんだ時、耳にダッダッダッと大勢が足をそろえて行進する音が聞こえてきたのだ。


今日のお昼まで、僕も大勢の仲間に囲まれていた。

たくさんの人の足音を聞いていた。

しかし今は一人だ。

心細くもある。

その足音は妙にそろっていて統制が取れていた。


まるで軍隊の行進!


僕は早歩きでその足音から逃げた。

いや、なるべく人気のある所に移動しようと思ったのだ。

しかしその足音は消えることがない。

僕が足を早めれば向こうも早めてくる。

「もしかして追われている」

この人たちは僕を追っているのか?

僕はさらに足を早めた。そして走った。

足音は・・・さらに大きくなるばかり。

ダッダッダッダッダ!

僕は耳元まで強く聞こえるようになった足音の恐怖に耐え切れず、ついに立ち止まって振り返った。


振り向くと、そこには誰もいなかった。闇夜に、電灯と、照らされるアスファルトの道、静かな民家、標識、人気はない。

僕はリュックサックをおろした。

その時気付いたのだ。


リュックサックの

ポケットに、

フリスクを入れていたことに・・・。


フリスク、口臭対策に入れた粒状のミントがプラスチックのケースに沢山入っている。

それがダッダッダではなく、ザッザッザと僕の歩く動作に合わせて揺れ、音を鳴らしていたのだ。

Sharpens you up! 当時のキャッチコピーである。なかなかドキドキさせてくれた眠気対策であった。

原因がわかると、なんてことはない。

僕は、歩き方に変化をつけたりして、勘違いしていた足音みたいな音を何度も再現しながら自宅に帰った。

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