エミンユルマズ氏が嫌いな暗号資産に本当に価値がないと言えるワケ

2022年11月20日日曜日

社会

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暗号資産と天然資源、暗号資産と美術品

先日、エミンユルマズ氏と加納裕三氏が暗号資産についての意見のぶつかり合いを見せていました。

本記事ではエミンユルマズ氏の発言を参考に、なぜ暗号資産には価値がないのか説明してみます。

以下はエミンユルマズ氏本人の考えではなく、彼の言葉に影響を受けた私自身の考えであることを前もって申し上げておきます。 

エミンユルマズ氏が嫌いな暗号資産に本当に価値がないと言えるワケ

実用性のある金、石油、食料などの資源と比べてどうか

まず金にしても、石油にしても、食料にしてもそれ自体に利用目的があるということです。

金は見た目が美しいです。

錆びにくいという特性があります。

電気伝導に優れ電子機器の回路にも使えます。

石油も燃料になったりビニール、プラスチックなどの加工品を作るのに重宝しています。

食料は私たちが空腹という苦痛から逃れるために絶えず欲しますし、私たちの生命維持のためになくてはならないものです。


一方、暗号資産にはそれ自体でお腹が膨れることも、電気を通す実用性も、燃料として何かを動かしたり温めたりすることはないのです。

人間が価値があると信じて初めて価値が生まれるものです。

美術品など絵画と比べてどうか

金が美しいので価値があると申し上げた時、もしかしたら「それも人が価値があると信じているからだろう」と思った方もいらっしゃるでしょう。

もっともです。

人の価値の基準を価値観と表現したりしますが、わかりやすい例で絵画などどうでしょうか。

暗号資産同様それ自体を利用して何かを作ることもできませんし、まして食べることもできません。

金の美しさも、絵画などの美術品の美しさも人それぞれの価値観なのだから、暗号資産も同じだと思うということでしょう。

それでは質問します。

あなたはピカソの絵を10円で売ってあげると言われたら買いますか、買いませんか?

ピカソの絵は100億円以上の値が付く最高級の美術品です。

ほとんどの人が10円なら買うと答えるのではないでしょうか。

次にこのような条件を付けくわえられたらどうですか?

ピカソの絵を10円で売りますが、条件として誰にも転売したり、展覧会を開いて誰かに見せたりしてはいけません。そして買ったことを誰にも口外してはいけません。

つまりお客さんを呼び込んでお金を取ることも、ピカソの絵を持っているという名誉も得ることもできない状態であなたはピカソの絵を買いますか、ということです。

私は買いません。

ピカソの絵の魅力がそれほど分からないからです。

買わない人が大半でしょう。

絶対に強盗で奪われることはないと架空の好条件をさらに追加したとしても、場所を取りますし絵を見てずっと楽しめるとは思えないからです。

大概、美術館で一目見て好奇心を満たせればそれでいいのです。


それでもこの条件でピカソの絵を買う人がいます。

いえ、この条件で100億円で買う人もいるかもしれません。

それは誰にも見せなくてもいいし、転売しなくてもいいので自分のものとして取っておきたいと思う人です。

それが本当にピカソの絵が好きで、ピカソの絵の魅力が分かっている人ということです。

つまりそれがピカソの絵の価値になるのです。


最初に10円で売ってくれるのなら欲しいと手を挙げた人は、おそらくピカソの絵を投機的な目で見ていたのではないでしょうか。

「10円で買って100億円で売ったらほぼ100億円手に入る。お得だ!」と。


これが暗号資産の弱さをそのまま表しているロジックです。

暗号資産自体をピカソの絵のように転売もせず、誰にも見せなくても欲しいと思う人がいると思いますか?

ともすれば、暗号資産は投機としての価値以外ないということになります。


面白いことに、本当に価値のあるものはお金の問題ではないのです。

価値がないから価値があると思わせるように値段をつけているのです。


これは希少価値というものです。

限りがあるからこそ価値が生まれます。

音楽もアイデアも無形資産といわれるものも同じです。

会社の評価価格である株もそうです。


条件がなかなか意地悪だったので話を現実に戻します。

あなたは暗号資産にいくら払いますか?

暗号資産からお金をもらうのではなく、いくら暗号資産に自分の財産を与えることができますか?

その答えがあなたにとっての、あなたの価値観による、本当の暗号資産の価値です。


美術品と暗号資産が同じだと考えていた人たちは、ある意味、投資家としてのありようを表しているのかもしれませんしその気持ちもわかるのですが、本当に大切なものを見失っているようにも思います。

あなたの本当に好きなものを思い出してください。

本当に熱中できるものは何ですか。

それがお金だけになってしまっているなら、少し相場から離れて旅行にでも行き、様々な景色や地元の人との出会いを通じて豊かな人生とは何なのかもう一度考え直した方がいい頃合いなのかもしれません。

貨幣・紙幣などの通貨と比べてどうか

ここまで来ると通貨と暗号資産の違いをくどくどと説明するまでもないでしょう。

ただ暗号資産には価値があると信じてきた人たちが、すぐさま本来の価値観に戻ることはできないということも理解していますので一応申し上げておきます。


ここでユルマズ氏の言葉を今一度お借りしたいと思います。

彼は通貨の価値を保つためにはそれを扱う人々の命をよりも強い存在がなければならないと説いています。

私たちは自分の資産を守るためそれ相応のセキュリティを求めます。

警備会社だったり、警察だったり、国対国、国対国民の場合は軍隊が登場することもありますし、抑止力として駐屯している場合もあります。


資源と呼ばれるものは私たちの生活が懸かっているもの、もしくは人生をかけてもいいと思っているものです。

暗号資産には投機目的以外に命を懸けるほどの意味を見出せますか?

通貨は投機目的だけでなく、実際に私たちの生活が懸かっている資源の売買にその担保として交換されています。


「暗号資産でも物は買えるよ」という方もいるかもしれません。

もちろんそれは承知していますが、"普通のお金"でも買えますよね。

暗号資産の優位性はどこかにありますか?


逆に暗号資産は凍結、ハッキング、詐欺による利用などの外部要因によって失う危険性が非常に高いです。

それなら銀行に預けてクレジットカードで支払った方が安全です。

暗号資産の優位性はどこにあるでしょうか?


それならセキュリティーを高めるためにシステムを改善し規制を強めますか?

それならドル、円など主要通貨に勝るものはありません。

規制がないことが売りだった暗号資産の優位性はどこにあるでしょうか?


「将来性が見込め価値が上がる」というのが暗号資産を支持する人にとっての最後の望みでしょう。

しかしそこは私たち暗号資産の批判者がわざわざ前置きしながら作った罠に過ぎません。

「投機目的しか存在しないものに本当の価値はない」でチェックメイトです。


暗号資産そのものに利用目的はなく、希少価値もない。

安全性に問題がありながら、規制されれば優位性がまったくなくなる。

もしそんなものに価値があるとしたら、その価値はバブルそのものです。


土地のバブルは、土地という最低限の価値がありました。

ゼロにはなりません。

しかし暗号資産はバブルだけということになります。

まだバルブの時に高値を付けられた素人の絵の方が価値があります。

額の価値と、画板を薪にする価値です。


エミンユルマズ氏は暗号資産を電子ゴミと表現していました。

私はあまり過激な言い回しを好みませんが、ペットボトルでさえ再生利用されているとすれば、それすらできない暗号資産はゴミの中のゴミ、本当のゴミだと言っても言い過ぎではないのかもしれません。

暗号資産は全部詐欺?

電子マネーや楽天ポイントのような感じで謙虚にお金の流通に貢献するような仕組みにすればよかったのではないかと思いますが、暗号資産を創設する本人たちが「値段が上がる」と謳い回っているのであれば、もう詐欺と思われても仕方がないのかとも思います。

ピカソの絵が10円でも売れなくなる仮説のように、暗号資産を応援している人たちももし暗号資産に値動きがなくなるとしたら早々と見限っていく人が大半だということも彼らの言動を見聞きしていると容易にわかってしまい、悲しい世の中だと思うものです。

エミン・ユルマズ氏による新聞記事

FTX破綻後、ビットコインに待つ意外な未来: 日本経済新聞 (nikkei.com)


関連記事:

加納裕三氏はなぜ暗号資産のメリットしか言えないのか、エミン・ユルマズ氏はなぜ暗号資産のデメリットを言えるのか、暗号資産の真価をめぐるエミンユルマズと加納裕三の戦いに記載。

 

Benjamin NelanによるPixabayからの画像

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