ホロライブ|清掃員を馬鹿にして炎上。どう理解すべきか

2023年11月11日土曜日

芸能レビュー

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主語は清掃員ではなくブラック企業

Vtuberの中でも常にトップを走り続けるホロライブ。

実際に視聴したことがなくても、切り抜き動画を見かけたり、コンビニで何かの商品とコラボしたものを見たことがあるかもしれません。

私も普段はあまり関心がないのですが、自分の好きなゲームをやっているときは、彼女たちの反応や視聴者のコメントが気になって見てしまうことがあります。

ホロライブのメンバーはYouTubeの登録者数が100万人を超え、同時接続数も数万人に達する一流のエンターテイナーです。

これだけ注目されるホロライブですから、時には炎上騒動も起こります。

今回は、職業差別をしたとされる件について考察します。

登場人物

湊あくあ

雪花ラミィ

獅白ぼたん

尾丸ポルカ

宝鐘マリン(名前のみ)

背景

  • マインクラフトというゲームの中で、湊あくあと宝鐘マリン2人で経営する架空の建設会社について他3人が評価している。
  • 湊あくあは自分の経営する会社がブラック企業だと疑う3人を説得し、就職してもらおうとアピールしている。
    • 後世に語り継がれるやりがいのある仕事、子どもにも「あれはパパが作った線路なんだよ」と自慢できるなど。
  • 湊あくあが勤続20年の「宝鐘マリン」がいると紹介。
  • 獅白ぼたんが、勤続20年の人(宝鐘マリン)がどんな役職かを問う。
  • 湊あくあが彼女は清掃員だと答える。
  • 雪花ラミィ、獅白ぼたん、尾丸ポルカが「20年働いて清掃員はヤバい」と笑う。


元動画は既に削除されており、現存するのは批判目的の切り抜き動画のみです。

彼女たちはSNSで謝罪もしています。

獅白ぼたんは「清掃員自体はいい仕事だ」とフォローしていますが、これがチャットの反応を見ての発言かは不明です。

清掃員を卑下するロジック

20年働いて清掃員はヤバいについて

まず、「清掃員はヤバい」の”ヤバい”は、清掃員という職業自体を指しているのではありません。

建設業と紹介しておきながら、20年も清掃員をさせている湊あくあの会社がヤバいと言っているのです。

「やりがいのある会社かも」から「やっぱブラックじゃねえか」という反応を誘っているわけです。

これは、求職者が企業を見極める就活の最中の反応です。

条件が悪ければ、拒否反応を示すのは当然です。


例えば、あなたがゲームを作りたいと思いゲーム制作会社の面接に行って、20年間机を雑巾がけしたり、トイレ掃除やゴミ出ししか仕事がないと知らされたら「この会社ヤバい」と思いますよね。

そして「20年雑巾がけ」と実際に告げられたら「20年雑巾がけはヤバい」と吐露するのが自然です。


話し言葉の中では主語の変遷がよく起こります。

ヤバいのは会社なんですが、「20年清掃員」のインパクトが大きすぎて主語が清掃員に代わってしまったということです。

20年課長・主任だったらヤバイについて

獅白ぼたんが「20年務めて課長とか主任だったらヤバいぞ」という発言も同じロジックです。

就活で安定した会社を探している側として、20年働いても出世できない会社は避けたいと思うのは当然です。

実際に20年働いて課長職にいる人を指しているのではなく、20年働いても課長職しか与えられないような会社は就職の条件としてヤバいと言っているのです。


以上ここからは2つの要因が見えてきました。

  • 「”湊あくあの会社”がヤバい」が会話のテンポを優先したため、主語が直近の「20年働いて清掃員」に代わったこと。
  • 3人が就活という立場から、会社の条件を批判的に見る立場にあること。


また、湊あくあが経営する会社は従業員が宝鐘マリンしかいない零細企業です。

2人だけの会社で、社長の湊あくあと、清掃員つまり召使のように働かされている宝鐘マリンという構図で笑いを誘っていると解釈できます。

ブラック企業への風刺という捉え方

彼女たちが示したのは世間で働く人たちの相談事・失敗談・不満の典型例です。

  • 求人情報と実際の業務内容が違っていた
  • 昇進・昇給がない、もしくは遅い
  • エンゲージメントの上昇が見込めない職場

これらの問題は会社の成長率と景気に依存するため、それだけでブラック企業とは言えませんが、もし経営陣が私欲のために意図的に行っていたらブラックと呼ばれても仕方ありません。

メンバーたちは、批判目的というほど大きなテーマで扱っているわけではありませんが、ちょっとした風刺としてブラック企業を揶揄していると考えられます。

無自覚にブラック企業のあるあるを提示した湊あくあに対し、3人はそれ相応の反応を見せたということです。


「清掃員はヤバい」、「課長・主任はヤバい」と聞いて実際にその立場にいる人は傷ついたかもしれません。

ホロライブファンの中にもいるでしょう。

しかし、前述の理由から清掃会社に勤務し、清掃員を本職としている人には当てはまらないので安心してください。

また、自分の勤める会社に誇りを持ち、課長・主任として充実感を持っている人にも当てはまらないので気にすることはありません。

現在、自分にとってより良い就職先を探している人や、自社の昇進制度に不安や不満を持っている人は、彼女たちの言葉を気づきのきっかけとして受け入れることもできるはずです。

5期生批判から見る批判者の正体

以上のことから、彼女たちの意識に職業差別がないことはわかりました。

それでも一部の人は、「誤解を招くような言い方をした」と批判するでしょう。

その通りです。

彼女たちは誤解を与えて私たちに不安を与えました。

「言葉の使い方」の面ではまだ批判する余地があります。

しかし、よく考えてみてください。

もし「言葉の使い方」で彼女たちを批判し続けるならば、そこには同時に「職業差別」を否定するロジックがあることを。

「職業差別ではない!言い方がわかりにくかっただけだ!」

彼女たちに職業差別の意識がない限り、言葉の使い方と職業差別を混ぜこぜにして批判を続けることはできないのです。

しかも、「言葉の使い方」と「誤解」には語り手と聞き手の両者がおり、双方に一定の責任があることから、今回は双方痛み分けの理論が成り立ちます。

「私たちも誤解してごめんね」と言わなければならないということです。

よって「言葉の使い方」で彼女を批判する人はみな彼女たちの擁護者でもあるわけです。

これを理解した上でまだ彼女たちの批判を続けたいというのであれば、それは目的がただ彼女たちを貶めたいだけになっており、己の心の醜さ、卑しさ、愚鈍さを自供しているようなものでしょう。


どの切り抜き動画をご覧になったかはわかりませんが、その切り抜き方が「湊あくあの会社」という説明を疎かにしていた場合、背景情報が意図的に削除されている可能性があります。

さらに、批判コメントにはホロライブ5期生を強調するものがありますが、湊あくあは2期生です。

もし批判するのであれば、嘲笑した5期生の3人だけでなく、「清掃員」を笑いに使った湊あくあも批判すべきでしょう。

5期生に限定するのは間違っています。

しかし、ここには注意が必要です。

ホロライブ5期生批判を促すようなタイトルやコメントは、期別対立を煽ることを目的としている可能性があるからです。

「昔はよかった」、「近頃の若者は」とする懐古主義者や、4期生以上のファンが新人の勢いにファンを取られると被害妄想的に批判している可能性もあります。

これはどのファン界隈にもある現象ですが、ホロライブが先輩後輩が積極的に共演する姿勢である以上、期別対立煽りはホロライブの反対勢力でしかありません。

3人を5期生と判別できるということは、ホロライブの情勢にそこそこ詳しい人です。

単に「清掃員への侮辱」を批判のテーマにするなら期生などの概念は用いないはず。

よって、5期生批判のコメントの正体は、4期生以上のホロライブ過激派ファンか、もともとファンだったがアンチになった反転アンチの疑いがあります。


皮肉にも、特に事情や背景もわからず、ロジックもなくこの炎上に油を注ぎ拡散したのが、Vtuberという職業を卑下(職業差別)した加藤純一氏のフォロワーたちです。

職業差別している側が、職業差別をしていない人たちにあらぬ嫌疑をかけ職業差別をしたと批判しているのですから滑稽です。

また炎上の影響で、ホロライブアンチでも加藤純一フォロワーでもない層も一定数批判に加わっているものと思われます。

ホロライブはなぜ元動画を消したのか

いろいろ精査してみると、「清掃員を馬鹿にしている」、「職業差別だ」との批判は適切でないことが分かります。

もし大げさに裁判で争ったとしたら無罪でしょう。

微罪でも、情状酌量でも、執行猶予でもありません。

完全に無罪です。

むしろ、彼女たちは発言の意図を捻じ曲げられて悪者扱いされた被害者と言えるでしょう。

「誤解を与えた方が悪い」という論調は言いがかりに過ぎません。

それが通用するのは世間話レベルの会話だけです。

なぜなら、もし彼女たちを批判をするなら、その批判と同じ精度を持って自分たちのロジックをも精査しなければならないからです。

すると自分たちの批判は的外れであることを自覚し、口をつぐまなければならなくなります。

彼女たちの落ち度を、正当に批判できる人は誰もいないのです。


では彼女たちはなぜ元動画を消したのでしょうか。

それは釈明するより謝罪して炎上元を消してしまった方が会社の利益になるからです。

損失を最小限に抑えることができるというビジネス的な観点であり、会社の指示かもしれません。

誤解を与えてしまったことは、受け取り側、もしくは切り取り側の落ち度だとしても、すべての人が公平な目で見てくれるとも限りません。

ホロライブに敵愾心を持っている人、ホロライブのファンでも他メンバーを認めない人、炎上に乗っかってストレスを発散したい人、理論的思考を持たない人などに反論や説諭は無意味です。

批判している人たちが皆、ロジックもしくはレトリックを理解できない”頭が悪い人”と言いたいのではありません。

普段理論的に考えられる人でも、先入観が邪魔をすることもありますし、わざわざ時間をかける人も少ないのです。

たとえ悪くなくても謝って、今後多角的に見ても悪く捉えられないように発言に気を付け、楽しい配信をしてファンを増やす。

彼女たちとマネージャー、そして上層部はそれが合理的であると判断したのだと思われます。

結論として

私は当初、かなり批判的にこの件を取り扱おうとしていました。

清掃員も立派な職業だ。

ホロライブの会社だって、メンバーが使う交通機関だって清掃員のおかげで成り立っている。

清掃員にだってホロライブのファンはいるだろうに、と。

私はホロライブのファンというわけではありませんが、好感を持ち始めていたのに、それも今日までかなと考えていました。

最初は批判8割、擁護2割(悪いのは5期生だけではない)程度で本記事を書こうというスタンスでしたが、2時間の熟考と数日の思索の結果、やっと真相が見えてきてメンバーに悪い人はいなかったという結論にたどり着きました。

ファンの人たちはわざわざ批判してくる人たちに反論する必要はないと思いますが、不本意ながらも謝罪し、大人の対応をとった湊あくあさん、雪花ラミィさん、獅白ぼたんさん、尾丸ポルカさんをこれからも支えていってあげてほしいと思います。

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