ここまで再現度の高い作品なのになぜ・・・
人気Vtuberホロライブのぺこらさんの配信により再び脚光を浴びたドラゴンボールのゲーム、カカロット。
格ゲー要素を排除したおかげで演出に力を入れることに成功し、おなじみのセリフや声優、BGMやSEの再現度も相まって漫画やアニメを見てきた世代にはあの頃の興奮を再体験できる良ゲーと言えるでしょう。
セル編でも印象深いシーンがいくつもあり、私個人では17号の声や喋り方は大人になってみるととても個性的で魅力あるキャラなんだなぁと思った次第です。
ところで、再現度に全精力をかけて作ったと思われるこのカカロット、肝心のシーンがないともいわれる惜しい作品でもあるのです。
例えば、「笑えよ、ベジータ」がありません。
これだけで何のシーンかわかる人、決して少なくないと思います。
例のシーン
トランクスとともに精神と時の部屋で修行してきたベジータ。
こちらの時間で1日、実質的に1年という修行で新たな新境地に入ったベジータは、17号を吸収したセルをも簡単にねじ伏せます。
しかしセルが18号を吸収して完全体になると形成は逆転。
「どうしたのだ?さっきまでの勢いは……笑えよベジータ」といってベジータを煽るセル。
ベジータが新必殺技ファイナルフラッシュを直撃させると、セルの腕と胸辺りが吹き飛びその想像を超えた威力に恐れおののくような様子を見せるセル。
うろたえたセルを見て勝ち誇ったベジータは「はーっはっはっは」大きな声で笑います。
笑っている最中のベジータを見ながら急に冷静さを取り戻すセルがこう言います。
「なんちゃって」
それを聞いたベジータは「はーはっはっ・・・は?」と笑いから愕然へ。
「馬鹿笑いしおって」と余裕の笑みを見せながら、セルは受け継いだピッコロの能力で腕を再生させます。
このシーン、友達がいつもマネしていたのでよく覚えています。
まるで落語家のようにベジータ・セルの二人一役でこのやり取りを再現するのです。
ベジータの高揚と絶望の落差がきっと面白かったのでしょう。
原因はレイティング?
面白いだけでなく、ファイナルフラッシュの初お目見えであり、完全体セルの圧倒的強さを印象付ける重要なシーンでもあります。
ですからこのシーンが抜かれていたのにがっかりした人は大勢いたでしょう。
アニメオリジナルの悟空・ピッコロの運転教習所のシーンやらは入っているのに、そして当然声優などを確保して膨大な費用をかけて作っているのに、そしてこれが当時の声優を使ってこのクオリティーで再現できる最後の機会かもしれないのに。
恐らく原因はCERO・レイティングシステムのせいではないかと思います。
カカロットはCERO:B(12歳以上対象)に位置づけられています。
セルの腕がもげるなどの欠損表現があると、CEROはC(15歳以上対象)やD(17歳以上対象)までに引き上げられる可能性もあり客層を狭めてしまいます。
また、海外に売り出す場合も基準が違う場合があり、18歳以上もしくは、最悪販売禁止になってしまう恐れすらあります。
他にも過激シーンとされる場所はカット
マーケティングの観点からは無難にこのシーンをカットしてしまった方がいいと判断したと考えられるのです。
恐らく同じ理由で悟飯によるセルジュニアの破壊シーンや人造人間20号によるヤムチャの胸の貫きシーンはありません。
ピッコロがセルに腕の部分のエネルギーを吸収されて、自らシナシナになった腕をもぎ取る部分もないですね。
そのせいで臨場感や敵に対する恐怖心、敵愾心、心理描写がわかりにくくなっていたり、話の流れ自体が分からなくなっているといった問題も起きています。
ところで魔人ブウの頭の触角のようなものはちぎれていても大丈夫なんですね。
欠損表現は人間基準というわけでしょうか。
制作側は頑張っている
実際、話の流れからして「笑えよ、ベジータ」は入れられたのだと思います。
しかし、それだけとってつけたようになってしまうのもよくないと考えたのかもしれません。
未来編の悟飯も片腕を失うわけですが、本来ここも審査に引っかかる恐れがありましたが、欠損の瞬間は映りませんし、以降服で隠しているためレーティングから逃れられたということで、原作通り片腕を失わせたことに関しては製作者側の作品愛と努力がうかがえる部分と言っていいでしょう。
(片腕を失った人がゲームに登場させられないのは、それはそれで差別だと思うのです)
もしかしたら審査に引っかかって削除しただけで、収録だけはしているかもしれないので何かのきっかけでDLCで追加なんてこともあるかもしれません。
これは全くの想像に過ぎませんが。
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