そばつゆにわさびを溶かすのはマナー違反?
お蕎麦のおいしさを求めて出会った知識
お寿司やラーメンに並ぶ日本の食文化と言っても過言ではないお蕎麦。
たしかに地域性があり特に東日本側の食べ物ではありますが、西日本から来たうどんと良きライバル関係を築きながらその人気を集めています。
私は東京都調布市出身で、水が綺麗なことから名物となった深大寺そばを子どものころから食べる機会がありました。
町にはたくさんのそば屋さんがあります。
お蕎麦のおいしさを追求していると、こんな食べ方の知識が目に止まるようになります。
以下はつけ麺スタイルの冷たいお蕎麦を食べるときのものです。
- 箸でつまんだそばを全部つけ麺に浸してはならない。(箸でつかんでいる辺りで浸すのを止める)
- わさびをつけ汁に投入して混ぜてはならない。
わさびをつゆにつけない食べ方
わさびをつゆにつけないでどうやって食べるのかと言いますと、適量のわさびを箸でつまんでザルの上のそばに乗せ、わさびを乗せたそばを箸でつまんでつけ麺に投入。
ただ、ここでわさびがつゆに入って溶けないようにわさびの乗っている部分は入れないということなのです。
そしてこの食べ方がそばを食べるときのマナーだなんていう人もいるそうです。
この食べ方、やってみると少々面倒です。
慣れないと妙な気持ち悪さがあります。
そばにつゆが使ってない部分が気になるのです。
ですから、おいしく感じられずやめてしまう人も多いかもしれません。
なぜつゆにつけないのか?
もちろん、この食べ方にも一理あります。
それが何かと言いますと、わさびの風味を堪能できるというところです。
そばつゆにわさびを入れてしまうと、つゆにほんのりわさびの風味が加わりますが、かなりの割合でつゆに負けてしまいます。
ところがわさびをそばに乗せて溶かさず食べると、新鮮なわさびの香りが口いっぱいに広がり、毎回新鮮なわさびのおいしさを感じることができるのです。
また、一度そばつゆにわさびを溶かしてしまうと、つゆが辛くなってつゆ自体のおいしさを壊してしまうともいえます。
わさびを辛みとしてだけに使うのではなく、あの風味を生かしながら、いつもきれいなそばつゆで食べることができるのがこの食べ方の主旨ともいえるのです。
私の場合は、わさびは乗せて食べますがその後つゆに全部つけて食べます。
そば通ぶった勘違い
でも、「この食べ方こそ正義!他の食べ方は邪道!」なんていう人がいたらそれは間違っているとはっきり言ってかまいません。
「そばつゆにわさびを混ぜるな!」なんてね。
どこかで、「つゆにわさびを混ぜてつゆを濁らすのは、せっかくきれいなつゆを作ってくれたお店の人に失礼だ」なんて言っている人がいましたが、そんなこと言ったり思ったりする店主を聞いたことがありません。
考えてみてください。
最後は濁りのある蕎麦湯でいただくんですよ。
お蕎麦屋さんが提供してくれるんです。
濁らせてはダメなんて整合性がありません。
わさびをそばに乗せる食べ方はマナーでも由緒正しき作法でもなんでもなく、ただこんなおいしい食べ方見つけたよという程度のものだからです。
この”お蕎麦のマナー”がただの知ったかぶりのマウント取りのために作られたのかと思うと承認欲求や自己顕示欲、支配欲を満たしたいという人間の幼稚さ、邪悪ささえ感じますね。
そばつゆにわさびを混ぜる食べ方は王道
江戸時代から日本人はわさびをつゆに混ぜて食べていました。
なぜならそばの薬味はもともとおろし大根が主流であり、わさびはおろし大根の代わりに使うようになったから。(おろし大根は今でもメニューにありますが、そばつゆに入れますよね?)
夏目漱石の小説やお蕎麦の歴史資料を引用しながらわかりやすく説明してくれているのが「日本わさび協会」の以下の記事です。
わさびは蕎麦に溶くか、蕎麦につけるか | わさびと... | 日本わさび協会 (wasabi.or.jp)
こちらには誰が何の目的でわさびをそばつゆに混ぜない食べ方を発案したかも載っています。
わさびをそばつゆに混ぜてもマナー違反ではありません。
むしろそれは伝統的な日本人の食べ方でもあります。
私はしばらくわさびをつゆに混ぜない食べ方で来ましたが、久しぶりにつゆに混ぜて食べてみようかなと思います。
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