児童福祉と高齢者福祉の分配バランス
■世界史が証明する資源の力
元をたどればお金とは食物である。歴史が証明しているように、食物の豊かで安定している国、地域は人口が増加する。
それでは現代の日本を年代別にするとどうなるか。福祉を専門とする大学の先生から知識をお借りすると、高齢者の人口が増え、児童が減少している。日本における社会保障の分配通りである。社会保障の内訳は年金と医療費が大半を占め、高齢者に関して言えば、介護がこれに付け加えられる。そもそも高齢者人口自体が多いので、高齢者福祉への配分が大きくなるのは仕方あるまい。しかし、現状に則して、これを忠実に強化すれば、現状の特徴が強調されるだけで、理想の形に近づくことはない。
理想の形に近づけるのが、先行投資という考え方であろう。つまりまだ生まれぬ子どもたちが住みやすい環境を作ることであり、今現在の子どもたちが充実した生活を送って、将来自立した大人になれるよう援助することである。
高度経済成長の時代、日本は福祉国家となろうとしていたが、その後の不況で方向転換せざるを得なかった。受け身となった社会福祉は、声を上げる者にしか対応しない。子どもは社会問題を語ろうとはしないし、将来生まれる子どもという実体のないものが自ら声を上げることはない。
貧困の格差是正の対策として、高等教育無償化の動きがあるが、遅きに失すると言わざるを得ない。財源を論点として批判的な向きもある。しかし、今後、年金や医療費の増加が避けられない以上、時間の経過とともに事態は深刻になるばかりで、自然治癒することはないのだ。
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