命の恩人を乱獲
先日NHKBSプレミアムで「池内博之の漂流アドベンチャー 黒潮に乗って奇跡の島へ」の再放送がありました。
江戸時代など今より気象予報や航海技術が充実していなかった頃より、鳥島に漂流した人々はかなりの高い確率で生還できたんだとか。
その理由が、アホウドリ。
無人島では当然、食料の確保が必須となるわけですが、漂流後、十分な道具がない状況では釣りや素潜りで獲物を確保するのは難しいことでしょう。
陸上の生き物を捕まえるにも、罠や弓矢等も作れません。
できると言ったら投石くらいでしょうか。
そんな中、アホウドリは人間が近くに寄っても逃げて行かない、素手で容易に捕まえられる獲物だったそうです。
それを生で食していたらしい。
アホウドリは絶滅危惧種ですが、数が激減したのは漂流者による食用が原因ではありません。
羽毛採取のためということです。
イギリスが始めた商売に、日本の商人たちが乗っかった。
記録では630万匹が捕獲されたとされています。
このことを妹に話すと、ひどすぎると言って怒っていました。
人間というものは富のためには見境がないなと感じます。
思い出したのは風の谷のナウシカの言葉、「ごめんね。赦してなんて言えないよね。ひどすぎるよね」
人間の策略のためにおとりに使われ、無惨な姿にされたオームの子どもに対してナウシカが言う言葉です。
それでも、鳥島に行くと今でもアホウドリは人間を怖がることもなくヨタヨタと歩いているそうです。
アホウドリはそののんびりな様子からつけられた名前だそうですが、糧として漂流者を救い乱獲の犠牲になった挙句に何とも無礼な呼び方だと思います。
そんな中、番組に出ていた長年鳥島の研究をしている学者が、「オキノタユウ」という名称を広めようとしているのが印象的でした。
「沖の大夫」
堂々と、優雅に構え、羽ばたく私たちの先祖・同胞の恩人にはピッタリな名前だと思います。
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