オスマン帝国外伝の感想|ジハンギルの生き様がやるせない

2022年2月8日火曜日

映画レビュー

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残酷さが教える生き延びる力

ちょっとネタバレもあります

先日、オスマン帝国外伝4を見終わりました。

 「オスマン帝国外伝~愛と欲望のハレム~」シーズン4|チャンネル銀河 (ch-ginga.jp)

と言っても最初は母親が見ていたのをチラチラ見ているだけだったのですが、徐々に続きが気になって中盤からは母と時間を合わせて一緒に見ていましたね。

シーズン1からずっと見続けていた母はすごい(^^;

率直な感想は救いようのないものになってしまいますが、「非情な人間が勝つ」というものです。

私自身は憐れみ深くありたいですし、優しい人が成功してほしいと思います。

でも、このドラマは正直な人が陥れられ、憐れみ深い人が裏切られる。

残ったのは非道な人たち。

セリム2世しかり、ヌールバーヌーしかり、リュステムしかり。

いったいこのドラマは何を伝えたいのか。

悪巧みをする人たちもまた精神的に追い詰められ苦しんでいるのはわかります。

彼らも自分と子どもたちの命が脅かされていますからどんな手を打っても生き延びようとするのは当然だと。

ヒュッレムだってムスタファを処刑に追いやっているし。

だから悪いことはいけないという教訓を表に出しつつも、そのような人たちが台頭していったという史実自体は曲げられないということなのか。

もちろん脚色が存分についていることを前提で観なければなりません。

ムスタファやバヤジトはドラマでは策略によって謀反を起こした人物に仕立てられたとされていますが、史実ではそのまま自分の意志で謀反を起こしているようですし、イブラヒムも実際なぜ処刑されたのか詳しくはわかっていないようです。

リュステムの最期は一応正義を信じる視聴者のカタルシスを実現する作りになっていますが、実際は水頭症が死因らしいです。

いや、ここはそう仕立て上げられたということで上手につなげた感があります。

情報源はWikipediaを使いましたが、英語の方が詳しく載っています。

このドラマから学んだこと

このドラマで伝えたいことを一つ上げるなら、イスラム教は多様性を重んじる宗教だということです。

スレイマンがヴェネチアの商人に、オスマン帝国が栄えているのは様々な民族・宗教を受け入れているからだと説明します。

もしかするとイスラム教を語ったテロリスト集団が世界に与えた誤解を解きたいという思いが制作者にあったのかもしれません。


私の好きな登場人物はジハンギルです。

スレイマンは、他の息子のように活躍できないジハンギルを自分の良心だと言ってないがしろにはしません。

単純に"力"というのは腕力や知力で測れないことはあるなと思います。

ムスタファが処刑されてからのジハンギルの苦しみと、魂が肉体から離れて安らかに天国に行く描写は涙を誘います。

私の父も心臓が悪く、普通の人のように動くことはできませんでした。

そのような人にとって不自由な体を捨てて解放を得ることは悲しいことではないのかなとも思わせます。

それが死後の世界を説く宗教の力なのかもしれません。

死後の世界がなかったら、そして公正な裁きがなかったら、ジハンギルも、息子を全員殺されたバヤジトも浮かばれないよなと思ってしまいます。

法律が整備され、ある程度倫理観が確立した現代では、正しく生きる人は浮かばれるでしょうか。

それともやはり悪だくみする人には敵わないのでしょうか。

蛇のように賢く、鳩のように素直であれとはキリストの言葉だったか。

そんなキリスト教界でも策略が横行していたのだから正しく生きるのは難しいことだと思います。

遠い国の遠い昔の話で、身分も全然違いますが、なんだか私たちの身近にもこういうことあるかもなと親近感を覚えるドラマでもありました。

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