電車のスピードが象徴するもの
師走、語源には様々な説があるようだが何だか忙しい雰囲気は感じる。
一説には平安時代にはこの呼び方が使われていたようだから、人間社会というのはいつの世も大きく変わらないのかもしれない。
年の瀬という言い方もそうだ。
語源・由来|「師走」「年の瀬」 一年の締めくくりを感じる言葉 | 世田谷自然食品がおくる「せたがや日和」 (shizensyokuhin.jp)
年間の人身事故数
毎年、この月になるとよく耳にするのが鉄道関係の人身事故のニュースである。
通勤・通学で使っている人はダイヤが乱れ、遅刻になることを心配したり予期せぬ立ち往生に焦りを感じた人も多いのではないだろうか。
車を使っている人も、近くで人身事故が起こると踏切が1時間も2時間も開かなくなって困ったことがあるかもしれない。
子どものころ私は、人身事故というのはほとんどの交通事故と同じで、不意にホームで人と電車が接触してしまったものだと思っていた。
足がよろめいてホームに転落し、運悪く電車にはねられ死亡したなど。
しかし、その人身事故が、本人の選びにより起こっていると知って衝撃を受けた。
もちろんすべてが飛び込みではないが、人身事故は日本全国で毎年1000件前後起こっている。
人身事故と簡単に言っても、人ひとりが亡くなっているわけだ。
2時間待って、何事もなかったかのように電車が再開される世の中は何と無情なことだろう。
電車を動かす私たちの価値観
昨今新型コロナウイルスが猛威を振るい日本は自粛を余儀なくされた。
世界には外出禁止を命じた国もある。
それは国民の命を守るためである。
人身事故は毎年1000件。
決して少なくない数ではない。
なぜ再開するのだろうか。
なぜ使い続けるのだろうか。
損害より利益の方が大きいからだろうか。
事故は鉄道利用の規約外だからだろうか。
利用者の多い駅ではホームドアを設置しているところが多くなった。
しかしまだ足りない。
人が死ねなくなるまで線路を覆い隠すべきだ。
もしくは電車を徐行にすべきだ。
例えばホームの前でいったん停車し、それからホームに徐行で入り停止位置で停車する。
2段階停車は実施できないものか。
もしくは徐行進入か。
それができないほど私たちの社会は焦っている。
私たちの社会は忙しい。
私たちの社会は急き立てられ何者かに追われている。
少しわかった気がする。
私たちは誰かが飛び込まないように駅や線路を囲うのではなく、
飛び込む原因を作っている会社や人間関係に安全策を備えるべきなのだ。
私たちは誰かが飛び込む電車にブレーキをかける前に、
飛び込む原因を作っている会社や人間関係にブレーキをかけるべきなのだ。
私たちは誰かが飛び込む前に少し歩みを遅め、ぶつかり合わないように注意すべきではないだろうか。
そういえば師走が過ぎて新年を迎えれば睦月となる。
睦月の睦は「人々が仲よく寄り合う。仲よくする」という意味らしい。
忙しく走らされた心を休め、ぜひそうしたいものだ。
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