パンツがへそくりに|ライブアライブリメイクとポリコレ

2022年10月6日木曜日

ゲームレビュー

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どちらの犯罪なら許される?

リメイクとして発売されたライブアライブの評判は概ね好調のようです。

ただ、90年代に作られたゲームなだけに現在の価値観や商品化の基準に合わせて作り直さなければならないところもあったようです。

特に目立ったのが超能力を持つアキラが主人公の近未来編です。

敵のモデルになったのは当時社会問題になりつつあったオウム真理教(地下鉄サリン事件が起きたのは当ゲームが発売されてから訳半年後)。

一見さんお断りの雰囲気があるバーでマタンゴに酔いしれる人々の姿は薬物依存症を連想させますし、そのマタンゴを大量摂取した無法松という主人公の兄貴分はろれつが回らなくなってしまいます。

この辺もリメイクで微妙な配慮が加わっているようですが、物語自体に大きな影響は与えていません。

ただ、「妙子のパンツ」というアイテムに関しては別です。

原作では、アキラが自身出身の孤児院の後輩ワタナベに妙子という女性職員の下着を取ってくるよう指示し、妙子に怒られてパンチされるというギャグ的展開。

パンツが欲しかったのにパンチをもらったとなっていたのですが、リメイクではどうもパンツのままではまずかったようで「へそくり」に変更されてしまったようです。

原作遵守リメイクとしては最高峰、ただし“過去の再現”でしかない――『ライブアライブ』レビュー (ign.com)

原作のままでは女性蔑視やセクハラなどを連想させるため、いわゆるポリコレ(ポリティカルコレクション)に配慮した形なのかもしれません。

ポリコレと言えば人権を尊重するばかりに作品や作者の表現を不自由にしてしまうということで度々議論の対象になっています。

個人的には今回の変更点は致し方ないとも思いますし、私自身もなるべく下ネタがない方がプレイしやすいと感じる人間ですのであまり残念には思わないのですが、一点、ポリコレの弱点が垣間見えたような部分があります。

それは、下着は駄目だけど窃盗はいいのか、という問題です。

クリエイターが意図的にそうしたのかはわかりませんが、下着の扱いでうるさく言う社会の目が、へそくりをくすねる、つまり他人のお金を盗むことには無関心であるとすれば、それはポリコレの不完全さを風刺していることになりはしないかという見方です。

もちろんプレイしている人間がどちらが不快に思うか考えることも大切ですし、批判を避けるためだけに内容をきれいにしているわけではないと思います。

つまり様々な環境にあるプレイヤーの最大公約数が快適に楽しく遊べるように開発者が自発的に作り直している側面もあるでしょうし、それが本来のあるべき姿です。

素晴らしい作品なのにあまり重要でない数か所のために遊べない、遊びたくない人が出てしまってはそちらの方が残念なことあります。

変更せざるを得なくなった背景には、ゲームが社会的に認められるメジャーなコンテンツになってきたという喜ばしい部分もあります。

ただ、今回のリメイクに当たっての変更はちょっと投げやりな感じもしましたので、それがちょっとした反骨精神に見えてしまったというわけです。

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