アイドル大本萌景への「マジでぶん殴る」は激励かパワハラか

2022年9月30日金曜日

芸能レビュー

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パワハラする人はパワハラを激励と言います

愛の葉Girlsでアイドル活動をしていた大本萌景さんが自殺したこの一件。

原因は所属事務所の社長やスタッフが彼女を精神的に追い込んだからとされています。

具体的な内容としては、仕事の拘束時間が長かったこと、それに伴って思うように高校に通学できなかったこと、仕事の相談や脱退について言及すると強い語調で拒否されたことなどが報道されています。

脱退を切り出した大本萌景さんが社長に説得されて思い直したことをスタッフに告げると、スタッフは「次また寝ぼけた事言いだしたらマジでぶん殴る」というメッセージを送っています。

このメッセージについて事務所側は激励の意味だったと釈明していますが本当でしょうか?

少し考察してみます。


このようにきつい言葉を激励と表現する人はたまにいます。

小突いたりすることをコミュニケーションの一つだという人もいます。

言っている本人、やっている本人はそのつもりなのかもしれませんが、大事なのはされた側の感情です。

そしてこのように暴力暴言を正当化する人はおおよそ【本当の暴言】と【冗談の暴言】を織り交ぜます。

冗談の暴言なんて本当はいらないのですが、本当の暴言をカモフラージュするため冗談の暴言を時折挟んでくるのです。

このスタッフの真意はわかりませんが、言葉のきつい人にはそのような性質があるということは念頭に入れていただきたいと思います。


次に、このスタッフは日常的に強い口調で大本さんに接していることがスマホの記録からわかっています。

「マジでぶん殴る」の他に、

「お前の感想はいらん」

「学校の判断と親御さんの判断の結果をそれぞれ教えろ(それも具体的に)」

「返事せえや」

等が報道されています。

常識的に考えて仕事上で大人が子どもに使っていい言葉ではありません。

仲がいいからとか、距離が近いからと解釈される人もいるかもしれませんが、親でも駄目だし友達でも駄目です。

そうされている人は思い直した方がいいでしょう。

そもそもこんな言葉遣いで仕事をしていることがおかしいのです。

このスタッフは言葉を知らないのかもしれません。

スタッフに悪気がなかったとしてもそれは無知なだけで責任がないとは言えません。

確かに言葉の真意を理解することは大切ですが、言葉選びも同じく重要なのです。

故意でなくても人が死んでしまった場合、その会社の責任者は業務上過失致死罪に問われます。

事務所側は逆に悪評を広められたと言って遺族を訴えたようですが、何をもって事実無根と言っているのか意味不明です。

私は最初、この暴言を見た時、直感的に励ましの意味もあるのではないかという解釈が脳裏をよぎりました。

そこで激励とパワハラの両面で考えようと思ったのですが、この暴言を励ましと捉えようとするとき、それは暴言を正当化したいという、加害者側の単純な思考と同一だという結論に至りました。

会社の責任の有無とその裁量は裁判で決定するとして、高圧的なメッセージを送っていたのは事実だからです。

自分の放った言葉に対して「そのつもりじゃなかった」はあまりにも稚拙です。


これは名古屋入国管理局で亡くなったウィシュマさんの事件で、管理局が遺族に対して放った言い訳に似ています。

【独自】「“鼻から牛乳”は日本のジョークです」ウィシュマさん映像の全容判明|FNNプライムオンライン

体調不良で苦しみ嘔吐している彼女に対して職員は「鼻から牛乳や」と言い捨てる。

この言葉も問題ですが、それを後に「これはフレンドリーに接するためだった」と取り繕おうとする大人の卑怯さが似ているのです。


一つ懸念していることは、この裁判、クラウドファンディングで支援を募っておきながら被害者側の弁護士もあまり成果を上げていないことです。

弁護士のセカンドオピニオンにより一度整理した方がいい気がします。

自殺に対して事務所がどの程度の責任があるのか、もしかしたら事務所以外にも彼女を追い詰めているものがあったかもしれないというのは判決までの重要な要素ですが、彼女が家族や友人に相談している所を見ると今のところ事務所以外に見当たらないといった感想です。


「アイドル業界はまだ常識の通用しない場所」と言うのが今回のニュースを見て思ったことです。

このニュースを見る前に、私が情報を追っていたSKE48などは2022年になっても恫喝を「愛ある指導」と称して商売道具にしています。

指導者から恫喝を受けて泣いたり奮起することをアピールポイントにしているのです。

それは運営が用意した演出の一部として理解していますが、こういったアイドル業界の昔からのパワハラ気質をルーツにしていると思うといい印象は受けません。

そして荒々しい言葉を美化することによって本当の暴言暴力をカモフラージュしているのではとも考えてしまいます。

参考資料:

16歳の農業アイドルの自死。訴えられた所属事務所が遺族らを提訴「事実無根の悪評を拡散された」 | ハフポスト NEWS (huffingtonpost.jp)

大本萌景さんの自死、「真実」求め遺族が裁判へ なぜ16歳のアイドルは追い込まれたのか | ハフポスト NEWS (huffingtonpost.jp)

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