FF7リバース改悪シナリオ1|バレットとダインの対決を新旧比較

2024年3月3日日曜日

ゲームレビュー

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コレルプリゾンで明かされるバレットの過去(物語の核心につく部分、ネタバレあります。)

前作リメイクの時からキャラの掘り下げに絶大な定評のあるFF7Rシリーズ。

今作リバースではさらに個々人に焦点を当てたエピソードがあるからプレイヤーの期待は高まります。

冒頭さっそく主人公クラウド、ヒロインティファの過去が語られ没入感を高めつつ物語を進めていくと、最初期からの仲間バレットの故郷コレルを訪れることになります。

バレット対ダイン

ここで待ち受ける感動的なストーリーと言えば、バレットの親友ダインとの対決でしょう。

片腕を重に改造した者同士のバレットとダインの一騎打ちは絵面としてもカッコいいです。

そして勝負の後、マリンが生きていることを告げると「マリンを抱いてやるには俺の手は……少々汚れすぎちまったのさ……」とダインは言い残して谷底に落ちていきます。

ダインを救う言葉を見いだせず独り膝をつくバレットはこう言います。

「……ダイン。おまえと同じなんだ……。オレだって……オレの手だって……汚れちまってる……」

神羅にすべてを奪われ、神羅に復讐を誓い、それを言い訳に少なからず市民を巻き込んでしまった罪悪感から目を背け突っ走ってきたバレットが、素直に心境を吐露する数少ないシーンです。

ただリバースでは肝心のこのセリフがありません。

本当に改悪なのか

バレットは絶命したダインの手の中に自分が肌身離さず持っていたマリンの写真を残して去っています。

これは自分には娘マリンを抱く資格がないと言ったダインに「そんなことはない」と返答しているようにも見えます。

もしかするとこれはオリジナル版の悲壮感あふれるシナリオから、神羅への復讐心が一部盲目にさせているとはいえ前向きで救いのある希望を捨てない強いバレットでのシナリオへの改変なのかもしれません。

つまり単にシナリオが改変されたというよりも、バレットのキャラクター自体がオリジナル版よりもポジティブ思考もしくは盲目的に改変されたため、それに合わせてシナリオも変わったということもあり得ます。

リバース版のバレットは自責の念に囚われるよりも、せめてダインに成長したマリンの姿を見せてやりたいと行動することができた。

確かにこちらの方が精神年齢が高めで父親らしいバレットです。

そしてそれは同時にこの物語で病むのは主人公クラウドだけ、クラウドが病んでいく様を強調する演出にするために改変した可能性もあるということです。


そして私はリバース版のこのシナリオで感動できなかったわけではなく、十分涙腺を刺激されましたし、バレットがもっと好きになりました。

バレットにあのセリフを言ってほしかった、あのセリフが聞きたかったと思うだけで。


もう一つの可能性として次回作に名台詞を残していることも考えられますが、その場合、やはりあのセリフはここでこそ放たれる言葉だったと思われるので、どう転ぶかわかりません。

シナリオライターは無能ではない?

私としては納得のいかない改変ですが、シナリオライターに技術がないとは言えません。

もちろんシナリオライター・イベントプランナーが複数いて誰がどこを担当しているかなどはわからないので、その辺の裏事情までは推測しかねます。

しかし少しイベントを遡りますが、クラウド一行がゴールドソーサーに到着した後、クラウドとバレットはホテルへ、そして幽霊屋敷をモチーフにした奇抜なホテルに気疲れしたバレットが「ジョニーの安宿が恋しいぜ」と言って散歩に出かけます。

とても些細なセリフですが、これはシナリオライターがもともと気を休める場所を探していたバレットの立場になって、そしてFF7リバースの世界に入り込んでいるからこそ言わせられる言葉、行動です。

その他の改変

ダインの最期

オリジナル版ではダインは自害を選びますが、リバース版ではがれきに隠れていた神羅兵襲撃されてやられます。

復讐の対象である神羅を殺しながら神羅に殺されます。

恐らく社会への影響に配慮した自殺を忌避するための演出変更だったと思います。

それならバレットとの決着で絶命すべきだったかというと、マリンの実の父親をバレットが直接殺すわけにはいかなかったのかもしれません。

そうすると今後、バレットがマリンと再開する場面でそれを挽回するイベントを作らなければなりませんから。

シナリオライターも悩んだと思いますが、これが苦肉の策だったのでしょう。

ただ私としては「こういうやりかたでしか決着をつけられなかったのか?」と不本意ながらも銃口を向けたバレットの銃弾で倒れるべきだったと思います。

そしてそのあと、パルマーの兵器が登場しますがこれは蛇足に感じます。

神羅から逃げる演出はあってもよかったですがコレルプリゾンの”最終ボス”は絶対ダインであるべきでした。

全体的なシナリオの流れ

バレットとダインから少し離れますが、全体的なシナリオではもう少し批判的にならざるを得ません。

リバース版にしてもクラウドたちはコレルプリゾンで真犯人を探し脱出しなければならないという目的は変わりませんでした。

しかも24時間以内に。

しかし気絶させられてタイムロスしているのにもかかわらず、焦る様子を全く見せません。


ここにはストーリーにボリュームを持たせようとする意図があるのはわかりますが、「バレットの無実を晴らしたい」、「バレットを見つけなければ」というプレイヤーのキャラに対する友情めいた厚い感情を薄めてしまう水増し的なイベントに見えてしまいました。

さらに一番の問題は、プレイヤーの能動的な行動に縛りを与え、いわゆるおつかい要素が強まってしまっていることである。

オリジナル版

  • 主人公ともども犯人容疑をかけられ強制的にコレルプリゾンに送られた。
  • プレイヤー視点ではバレットが犯人かもしれないという不安を払しょくしきれぬ疑心暗鬼のまま物語が進む。
  • コレルプリゾンでバレットを見つけるが多くを語らず先に行ってしまう。
  • ならず者が点々とするスラム、敵も出現する見知らぬ土地での孤独感の中でバレットの影を追っていく。
  • バレットの真相を知り、バレットがパーティーに戻り真犯人ダインのもとへ。
  • ダインの決着の後、ゴールドソーサーへ戻るためのチョコボレースに出場。

リバース版

  • バレットは知能犯ではないからこんな事件は起こせないとウケ狙いが優先してほぼバレットが犯人ではないことが周知される。
  • 物語上では犯人容疑をかけられるのはバレットだけで、園長ディオからコレルプリゾンへ行って容疑を晴らしてこいと言われエレベーターで移動。
  • コレルプリゾンに入ると早々にならず者に襲われ気絶、起きると仲間が拘束され自由にするためにチョコボレースに出るようにと勝手に話が進む。
  • チョコボを強化するためのクエスト。
  • チョコボレーシングで優勝し仲間が解放。
  • バレットに再開し、ダインと対決。
  • ディオにもらったバギーで神羅から逃走し外へ。

オリジナル版ではミステリー要素が強くプレイヤー主導で物語が進んでいくのに対し、リバース版はやるべきことを次から次へと押し付けられます。

”押し付けられる”といういい方は私の主観が入っているネガティブな言い回しですが、要は昔のRPGであった自分で物語を切り開いていくという自発性がほとんどつぶされているのです。

なぜプレイヤーをだだっ広い荒野に置き去りにすることができないのか。

少しくらい雑に扱われたってプレイヤーは怒らないのになと思います。

コレルプリゾンの残念な”町並み”

オリジナル版のコレルプリゾンはいわゆる”町”ではなくバラック小屋が点々と建てられた砂漠なのですが、リバース版ではちゃんとした町です。

賑やかで活気があります。

人々の目には輝きがあり、希望・夢・野心を持って生きています。

お店もあります。

カードゲームもできます。

それはリメイクならではの肉付けと言えるかもしれません。

しかし、私はコレルプリゾンがこんなに普通の町でいいのかと思ってしまいました。

もっと無駄なスペースがあって、むなしい風の音が聞こえていて、人恋しくても人と会えず、会ったら会ったで危険な人・変な人・嘘つきばかり、太陽が照り付ける、砂ぼこりが舞う、ミッドガルのスラムでさえ天国に見える、コスタデルソル…あの頃はよかった、ゴールドソーサーが夢のよう、俺には世界を救うという大義があったのに、まるで囚人だ、このまま一生囚人なのか?というようなところでよかったと思っています。

華やか賑やかな場所はゴールドソーサー、コスタデルソルがあるのだからその対比としてもコレルプリゾンはもっと侘しくもっとさびれていてよかった。

町ではなくダンジョンであるべきだった。

ミッドガルのスラムとも違った救いようのないならず者たちの巣窟でよかったのだと思います。

チョコボレースプロデューサーのエストの没個性

オリジナル版ではコレルプリゾンの侘しい世界だからこそエストの派手で風変わりな格好が目立つという構成でしたが、コレルプリゾンの街並みが賑やかで人々も個性的なため、彼女の存在感が埋没してしまいました。

単にこぎれいな女性と言った感じです。

そしてこれはいい悪いではなく私の完全な感性の問題ですがエストはもう少し個性的な厚化粧がよかったと思っています。


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