FF7リバース|ミニゲームを作りこみすぎて逆に”遊び”がなくなってる

2024年3月6日水曜日

ゲームレビュー

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適当に作れないのは大手ゲーム会社の弱点?

FF7リバースのミニゲームについての評価

2024年2月末に発売されたFF7リバース。

グラフィック、音楽、広々と世界とそこに住む人々の作り込みは圧巻で、今年一のクオリティとも言われています。

ミニゲームさえ作り込みがすごいと評判です。

ただ、私はこのミニゲームの完成度が逆にゲームとしての遊びを失わせてしまっているという印象を受けました。

グラフィックは美しく、マップはオープンワールド並みのシームレスを実現。

そのクオリティーとは逆行するようにミニゲームはシームレスを失ってしまったことが不思議でなりません。

何でもミニゲーム化

例えばグリン牧場で最初にチョコボに乗る練習として、シンプルなコースとタイムアタックが用意されています。

しかし、私が思うにただ牧場の周りを自由に走らせてくれればよかったのにと思いました。

いきなりコースのスタート位置にワープするような演出にせず、それこそシームレスにその場でチョコボに乗せてくれて走ったり歩いたり、チョコボの操作だけでなく、チョコボにまつわる話などを聞かせてくれれば牧場らしい楽しさがあったはずです。


アンダージュノンからアルジュノンへ行くためのイルカジャンプもそうです。

こちらもイルカが泳ぐためのコースが用意されていて、コース上にあるボールをタッチしていくと高スコア、イルカのテンションが上がって大ジャンプできる仕様になっています。

ここもやはり、コースではなくアンダージュノンの入り江を自由にイルカに乗って泳ぎたかった。

途中プリシラからのアドバイスはあってもいいですが、泳いで自分なりにイルカの操作を覚え、大ジャンプするためにはそれなりにテクニックが必要で、それでも小さなジャンプでも一応はあるジュノンに行けるルートがある、大ジャンプで行けば近道になるような分岐があってもよかったと思うのです。

イルカに乗って入り江を探索し、小島や岸にはレアアイテムがあったり、イルカの喜ぶ食べ物なんかがあってジャンプ力の強化にもつながるなど。


コスモエリアの空チョコボのミニゲームもそうです。

スコア制ではなく、谷を飛び越えてショートカットができたりレアなアイテムを探索するくらいで十分だったのではないでしょうか。

パラグライダーのように谷間を滑空する遊びや、最長の飛距離を試す遊びをプレイヤーが自分で見つけるような作りにすることもできたはずです。


何でも”ミニゲーム”にしてしまうことによってプレイヤー自身が持っている遊び心をないがしろにしてしまっているように思います。

「ミニゲーム=高得点」で気疲れ

そしてFF7リバースのミニゲームはどれもスコアがついて回ります。

これもちょっと多すぎる。

私たちは会社で日々評価され息抜きでゲームをしているのに、ここでも評価されなければいけない。

始終「あなたはゲームが上手か下手か」との詰問に遭い、未熟者であることを自覚させられる。


せっかくゴールドソーサーという大きなゲームセンターがあるのだから、チョコボレースもイルカのゲームも完成されたミニゲームとしてはそこで集約してくれればよかったのです。

FF7オリジナル版ではその棲み分けができていました。

イルカのゲームはありませんでしたが、”現実”で起こった生死を分けるようなハイウェイバトルがゲームとして何度も遊べるようになったり、大自然のスノーボードを経験した後、それよりコンパクトな形の難易度選択とスコア付きのミニゲームとして遊べるようになっていました。


これは大手ゲーム会社ゆえの妥協が許されない仕事場環境だからでしょうか。

適当に作ったら上司から認可されない。

時間をかけ、「作り物」を作ったほど評価される。

対価を払って作らせたものだから、絶対に遊んでもらわないともったいない。

ゲーム会社従業員としてのノルマのプレッシャーがプレイヤーに圧として伝わってきて押し付けがましく感じてしまうところもあるように思います。

FF7リバースの世界自体が十分あそび場

私たち人間は自分たちで遊びを見つけてきました。

例を挙げるならダーツ。

ダーツは14世紀ごろのイギリスで酒場で集まっていた兵士たちがワイン樽を的にして矢を投げる遊びが発祥と言われています。

ダーツ - Wikipedia

冬季オリンピックの代表的なスポーツであるカーリングも、昔は野外で、凍った水辺に滑らかな川の石を滑らせて遊んでいたのが発祥と言われています。

カーリング - Wikipedia

サッカーも野球も初めから完成された競技ではありませんでした。

人は走れる場所、泳げる場所、転がるもの、刺さるもの、硬いもの、柔らかいもの、弾むもの滑るものなどがあればそれとなく遊びを見つけるものです。

FF7リバースはその高いクオリティーを持って素晴らしい世界を表現しました。

それは人がゲームの世界に入って自由に遊べる場所に他なりません。

その作り込まれた世界であれば、それほど決まりきったルール、つまりミニゲームを用意しなくても十分プレイヤーが遊ぶ空間となっていたと思います。

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