松本人志氏の弁護士の戦略
性加害疑惑の潔白を証明すべき裁判で戦うダウンタウン松本人志氏。
文春の記事が事実無根と訴え、5億5千万円の損害賠償請求を”焦点”に争っています。
文春側「行為強要は事実」/社会/社会総合/デイリースポーツ online (daily.co.jp)
松本人志氏の代理人を務めるのは田代政弘弁護士という人です。
八重洲総合法律事務所の代表で元検事、いわゆるヤメ検弁護士です。
さて、この田代弁護士は芸能関係の訴訟問題で有名というわけではありませんが、現時点では松本人志氏の名誉回復という点については一部成功しているように思います。
まだ裁判は始まってばかりですが3つ挙げたいと思います。
小難しく長い文章で翻弄
法律を取り扱う文章というのは、嫌がらせかと思うくらい難しい文章で一般人にはわかりにくいものです。
しかし法律関係者からしたら読み間違え、誤解のない、つまり多角性のない理論的な文章ということなのでしょう。
ただ、田代弁護士は誰からもわかりにくい文章で世論を翻弄していきます。
【今後、裁判において、記事に記載されているような性的行為やそれらを強要した事実はなく、およそ「性加害」に該当するような事実はないということを明確に主張し立証してまいりたいと考えております。】
こちらの【記事に記載されているような性的行為やそれらを強要した事実はなく】の部分ですが、「や」の位置が紛らわしく、「記載されている性的行為や」なのか「性的行為やそれらを強要した事実」を意味しているのか解釈を二分させる文章になっています。
世論が自分の都合のいいように受け取れる文章により、松本氏の加害性の印象を少しでも和らげようとする狙いがあるのかもしれません。
もし上記の説明でわかりにくければ、女性SPA!の記事を読んでみてください。
松本人志のヤメ検弁護士が選ばれた“3つの理由”。提訴「『や』の位置が日本語として紛らわしい」裁判ウォッチャー芸人が指摘 | 女子SPA! (joshi-spa.jp)
この記事の説明でも何を言っているかわからない読解力・注意力の層を松本氏の擁護側に取り込むことに成功しているように思います。
感情論に訴える
田代弁護士は裁判が始まる時期に松本氏の心境を世間に伝えました。
「一日も早く、お笑いがしたいです」。
もし松本氏が本当に性加害をしていないのであれば、そしてしていないと信じる人たちにとって、松本氏を応援したくなるのにこれ以上にない簡潔なメッセージです。
全文を以下に記載します。
人を笑わせることを志してきました。たくさんの人が自分の事で笑えなくなり、何ひとつ罪の無い後輩達が巻き込まれ、自分の主張はかき消され受け入れられない不条理に、ただただ困惑し、悔しく悲しいです。世間に真実が伝わり、一日も早く、お笑いがしたいです。
「一日も早くお笑いがしたい」松本人志氏コメントはなぜこのタイミング?28日裁判には出廷せず 訴訟後に一時期“海外滞在”も判明|FNNプライムオンライン
無実の言い訳ではなく自分のお笑いに対する心象を率直に述べる、お笑いとは唯一ともいえる私たち一般人との”つながり”をもつ言葉ですから響かないわけはありません。
事実かどうかは関係なく、松本氏に味方したいと思わせる世論誘導と言っていいでしょう。
前代未聞!被害女性の個人情報を求める
対する文春側の代理人喜田村洋一弁護士は、ジャニーズ喜多川氏の性加害を高裁で認めさせたり、小沢一郎議員の「陸山会事件」で検察の聴取内容の捏造を暴いたりとやり手ですが、松本側のやり方にかなり困惑しているようです。
被害者の女性の住所や電話番号を要求されたと。
文春側代理人、「こんなこと初めて」松本人志側の「A子B子」”人定要求”に怒りと困惑:中日スポーツ・東京中日スポーツ (chunichi.co.jp)
それを聞いた松本氏を擁護する一部の人たちは、「当然だ」「女性の存在自体疑わしい」「隠れているなんて卑怯だ」と息巻いており世論の誘導に成功しています。
どの事案でも同じです。
説明するまでもないでしょう。
被害者の個人情報は被害者の弁護士や裁判所が確認できればそれでいいのです。
裁判で負けても松本人志が活動できる環境づくり?
松本氏側が事実無根の潔白を訴えている以上、この裁判は白か黒かの決着以外ありません。
しかし、たとえ裁判で負けて松本氏が性加害を行っていたと認められても、彼が活動を続けられる道はあります。
それは松本擁護派を増やしておくことです。
裁判に負けたとしても、松本氏を好きな人がたくさんいれば芸能界に復帰できるかもしれませんし、少なくともYouTubeくらいでは活動できるかもしれません。
裁判に負けた?
あんな裁判不当だ!
松本人志は事実無根だと言っている!
彼自身の言葉を信じる!
という人たちは一定数います。
戦争してもプーチン大統領は正義と言っている人がいるくらいですから、人間の考える善悪というのは非常に個人的なもので、法律もその心情まで縛ることはできません。
もしかしたら松本氏は裁判で負けても「それでもボクはやってない」というかもしれません。
そしてそれを信じる人が松本氏を支え続けるでしょう。
松本氏代理人の田代弁護士はそこまで見越して、松本氏の好感度が少しでも保たれ、擁護派が安心できる土壌を目指しているのかもしれません。
それは試合に負けて勝負に勝ったともいえるのです。
裏を返せば、裁判は松本側にとってかなり難しいとみているともいえそうです。
田代弁護士は検察時代に捏造によって裁判を有利に進めようとしたある意味”やり手”です。
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